公開前からずっとずっと楽しみにしていたスティーヴン・スピルバーグ監督最新作「リンカーン」を観に、劇場に行ってきました。
まだ収まりそうにない興奮が残っている今のうちに、この感動を書き留めておこうと思います。
と、その前に。
映画冒頭にスピルバーグ監督が、この映画の主軸となる奴隷解放宣言と南北戦争の経緯について少しお話ししてくれていますが、それだけでは足りないという方に、もう少し付け加えた説明を。
当時アメリカ合衆国は、黒人奴隷によって支えられていた経済を発展させるため自由貿易を求める南部・奴隷州と、奴隷制を認めず保護貿易を求める北部・自由州とで二分化されていました。
1860年11月、奴隷制に反対する共和党のエイブラハム・リンカーンが大統領選挙で第16代大統領に選出されたことにより、翌年2月にサウスカロライナ州を始めとする7州が連邦からの脱退を宣言しアメリカ連合国を結成、同年4月12日に南部戦争の開戦が宣言されます。
1861年に始まったこの南北戦争は、1865年4月に北軍が南部の首都リッチモンドを陥落。
これにより南部陸軍総司令官ロバート・E・リーが降伏し、事実上の終戦を迎えることとなります。
この間、1863年1月1日にリンカーンは、アメリカ合衆国が目指す“民主主義”の妨げとなっていた奴隷制を完全に廃止するため奴隷解放宣言に署名し、「完璧なアメリカ合衆国」をつくることを目標に掲げます。(合衆国憲法前文に、憲法の目的として「完璧なアメリカ合衆国をつくること」が明記されていたため)
さらに1865年1月、米国内・領土内すべての奴隷制を禁止する米国憲法修正第13条を下院議会に提出します。
この映画は、米国憲法第13条修正法案をめぐる、第16代大統領エイブラハム・リンカーンの、苦悩の4ヶ月間が描き出されています。
さて、ここからは私の感動を徒然と。
主役を務めたダニエル・デイ=ルイスですが、冒頭の黒人兵士と話すシーンから早くも度肝を抜かれて放心状態に。
カメラが映す後ろ姿の存在感に圧倒され、その曲がった背中には「う〜ん、日本は敵わないな〜」とさえ思えてしまうほどの何かを感じます。
ダニエル・デイ=ルイスといえば、その徹底した役作りや確かな演技力で、ハリウッドでも多大な影響力を持つ俳優として知られていて、今回も1年の準備期間を費やし、リンカーン関連の書物を読破、南部訛りをマスター(ダニエル自身はイギリス出身)、妻役のサリー・フィールドとは4ヶ月間に渡って当時の書体での文通を行ったという徹底ぶりで撮影に挑んだそうです。
アメリカ合衆国大統領としての品格、今もなお人々に愛されるリンカーンの人柄、また父や夫として人間味溢れ激高するその姿が、スクリーンにまるで生き写しかのように映し出されていて、感動せずにはいられませんでした。
アメリカの歴史を大きく動かした奴隷解放宣言や、アメリカ唯一の内部戦争の歴史的背景を綿密に描きながら、今まで語られることのなかったリンカーンの真の姿にスポットを当て、「政治の在るべき姿や人々が命を顧みず闘い続ける理由、流した血に込められたもの、また私たちが求める“平等”とは?」と、改めて考えるきっかけを与えてくれる、そんな印象を受けました。
世界が混乱する今だからこそ、観るべき映画なのだと思います。
スピルバーグ監督が、構想・製作に12年という歳月を費やして完成させたこの歴史超大作ですが、日本人には奴隷制度というものがそもそも馴染みのないものなので、この映画を観る前に、黒人奴隷や人種差別をテーマとした映画を観ておいた方がいいかも知れません。
最近の映画でならクエンティン・タランティーノ監督「ジャンゴ 繋がれざる者」や、今もなお人種差別が根強く残っているジョージア州が舞台の「チョコレート」、少しライトなところでしたら「悲しみは空の彼方に」などはいかがでしょう。
それと、この映画は外国の歴史を主軸としてお話が進んでいきますので、上に書いたものに付け加えて、登場人物などの予習をするとさらに楽しめることと思います。
"(We here highly resolve that) This nation, under God, shall have a new birth of
freedom; and that government of the people, by the people,
for the people, shall not perish from the earth." (Abraham Lincoln: November 19, 1863)
まだ収まりそうにない興奮が残っている今のうちに、この感動を書き留めておこうと思います。
と、その前に。
映画冒頭にスピルバーグ監督が、この映画の主軸となる奴隷解放宣言と南北戦争の経緯について少しお話ししてくれていますが、それだけでは足りないという方に、もう少し付け加えた説明を。
当時アメリカ合衆国は、黒人奴隷によって支えられていた経済を発展させるため自由貿易を求める南部・奴隷州と、奴隷制を認めず保護貿易を求める北部・自由州とで二分化されていました。
1860年11月、奴隷制に反対する共和党のエイブラハム・リンカーンが大統領選挙で第16代大統領に選出されたことにより、翌年2月にサウスカロライナ州を始めとする7州が連邦からの脱退を宣言しアメリカ連合国を結成、同年4月12日に南部戦争の開戦が宣言されます。
1861年に始まったこの南北戦争は、1865年4月に北軍が南部の首都リッチモンドを陥落。
これにより南部陸軍総司令官ロバート・E・リーが降伏し、事実上の終戦を迎えることとなります。
この間、1863年1月1日にリンカーンは、アメリカ合衆国が目指す“民主主義”の妨げとなっていた奴隷制を完全に廃止するため奴隷解放宣言に署名し、「完璧なアメリカ合衆国」をつくることを目標に掲げます。(合衆国憲法前文に、憲法の目的として「完璧なアメリカ合衆国をつくること」が明記されていたため)
さらに1865年1月、米国内・領土内すべての奴隷制を禁止する米国憲法修正第13条を下院議会に提出します。
この映画は、米国憲法第13条修正法案をめぐる、第16代大統領エイブラハム・リンカーンの、苦悩の4ヶ月間が描き出されています。
さて、ここからは私の感動を徒然と。
主役を務めたダニエル・デイ=ルイスですが、冒頭の黒人兵士と話すシーンから早くも度肝を抜かれて放心状態に。
カメラが映す後ろ姿の存在感に圧倒され、その曲がった背中には「う〜ん、日本は敵わないな〜」とさえ思えてしまうほどの何かを感じます。
ダニエル・デイ=ルイスといえば、その徹底した役作りや確かな演技力で、ハリウッドでも多大な影響力を持つ俳優として知られていて、今回も1年の準備期間を費やし、リンカーン関連の書物を読破、南部訛りをマスター(ダニエル自身はイギリス出身)、妻役のサリー・フィールドとは4ヶ月間に渡って当時の書体での文通を行ったという徹底ぶりで撮影に挑んだそうです。
アメリカ合衆国大統領としての品格、今もなお人々に愛されるリンカーンの人柄、また父や夫として人間味溢れ激高するその姿が、スクリーンにまるで生き写しかのように映し出されていて、感動せずにはいられませんでした。
アメリカの歴史を大きく動かした奴隷解放宣言や、アメリカ唯一の内部戦争の歴史的背景を綿密に描きながら、今まで語られることのなかったリンカーンの真の姿にスポットを当て、「政治の在るべき姿や人々が命を顧みず闘い続ける理由、流した血に込められたもの、また私たちが求める“平等”とは?」と、改めて考えるきっかけを与えてくれる、そんな印象を受けました。
世界が混乱する今だからこそ、観るべき映画なのだと思います。
スピルバーグ監督が、構想・製作に12年という歳月を費やして完成させたこの歴史超大作ですが、日本人には奴隷制度というものがそもそも馴染みのないものなので、この映画を観る前に、黒人奴隷や人種差別をテーマとした映画を観ておいた方がいいかも知れません。
最近の映画でならクエンティン・タランティーノ監督「ジャンゴ 繋がれざる者」や、今もなお人種差別が根強く残っているジョージア州が舞台の「チョコレート」、少しライトなところでしたら「悲しみは空の彼方に」などはいかがでしょう。
それと、この映画は外国の歴史を主軸としてお話が進んでいきますので、上に書いたものに付け加えて、登場人物などの予習をするとさらに楽しめることと思います。
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